東京電力福島第一原子力発電所事故に係る和解
東京電力ホールディングス株式会社と和解契約を締結しました
令和4年6月市議会に上程した和解に関する議案が可決されたことを受け、市は令和4年6月23日付けで東京電力ホールディングス株式会社と和解契約を締結しました。
和解にいたる経緯
市では東京電力福島第一原子力発電所の事故により放射線対策に要した経費のうち、平成23・24年度分で、国の補助金等の交付対象とならず、東京電力ホールディングス株式会社と合意に至らなかった費用95,589,270円に係る損害賠償金について、原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年法律第147号)に基づき、令和2年10月8日付けで、原子力損害の賠償に関する紛争のあっせんを行う原子力損害賠償紛争解決センターに対し、あっせん申立てを行い、追加資料や意見書等を提出するなど審理に対応してきました。
【稲敷地区6市町村放射能対策協議会を構成する牛久市、稲敷市、阿見町、美浦村、利根町が連携して、あっせん申立てを行いました。】
その後、令和4年2月25日付けで同センターにから和解契約書案が提示され、市は令和4年3月17日付けで受諾する旨を回答しました。
【東京電力ホールディングス株式会社は、同センターから提示された和解契約書案を受諾する旨、令和4年3月16日付けで回答しています。】
和解の概要
原子力損害賠償紛争解決センターから提示された和解案は、請求額(和解時点)92,537,230円の8.4%にあたる7,784,100円の支払い義務が、東京電力ホールディングス株式会社にあるとする内容でした。
人件費については、追加的な費用が発生していない勤務時間内人件費は、損害とは認められず、平成24年度の放射線対策に従事した職員の時間外勤務人件費に限り認められました。
(平成23年度の時間外勤務人件費1,407,882円についてはあっせん申立て前に受領済)
また、放射線対策経費については、公園、小中学校・幼稚園等の除染委託料や、民間保育所等に対する補助金、資材購入費用など、市が行った対策費用が概ね認められました。
請求額(和解時点)および和解額
人件費【平成23年・24年】(放射線対策に従事した職員人件費)
損害項目 | 請求額 (和解時点) | 和解額 | 割合 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|
人件費【平成23年・24年】(放射線対策に従事した職員人件費) | 84,865,500円 | 1,300,000円 | 1.5% | 平成24年度時間外人件費に限り提示された | |
放射線対策経費【平成23年・24年】 | 7,671,730円 | 6,484,100円 | 84.5% | ||
合計 | 92,537,230円 | 7,784,100円 | 8.4% |
放射線対策経費【平成23年・24年】の内訳
損害項目 | 請求額 (和解時点) | 和解額 | 割合 | |
---|---|---|---|---|
委託費(除染業務委託料) | 4,638,529円 | 4,380,000円 | 94.4% | |
消耗品費(ガソリン代・高速道路料金等) | 57,657円 | 13,600円 | 23.6% | |
その他の経費(民間保育所等に対する補助金、資材購入費等) | 2,975,544円 | 2,090,500円 | 70.3% |
※あっせん申立て後に、東京電力ホールディングス株式会社との合意により、時間外勤務人件費(放射能対策所管課職員分)128,698円、対策経費2,922,030円を受領していることなどから、あっせん申立て時の損害賠償金と請求額(和解時点)に違いが生じています。
和解受諾の判断理由
人件費以外の損害について、(1)相当因果関係がある損害として84.5%が認められており、市の主張が一定程度斟酌された内容であること、(2)本和解では損害として認められなかった経費についても、賠償請求の権利を放棄するものではないこと、(3)和解することによって早期賠償が実現できることなどから、和解することが適当であると判断しました。