妊娠中、気をつけたい感染症
私たちの周囲には、目には見えませんが、細菌やウイルスといった病原体が無数に存在します。人に感染症を引き起こす病原体もたくさん存在します。妊娠中に初感染すると胎児に影響を与えるものもあるので、感染症が疑われる人は妊婦にうつさないよう配慮しましょう。
トキソプラズマ
加熱不十分な肉、猫のフン、土などに存在する原虫です。妊娠中にこのトキソプラズマに感染した場合、生まれてくる赤ちゃんの目や耳が不自由になったり、精神的発達の遅れがみられたりすることがあります。
予防
- 生肉は避け、よく火を通して調理する
- 家庭菜園や猫の世話をするときはゴム手袋を着用する
風しん
風しんウイルスが感染者のしぶきを介してうつり、全身の発しんや発熱などを特徴とします。妊娠初期の女性が風しんにかかると、生まれてくるお子さんが先天性風しん症候群を発生することがあります。
予防
- 風しんワクチン接種歴のない方は、妊婦にうつさないよう予防接種を受けましょう
- 妊娠予定のある方は、速やかに予防接種をうけましょう
*今年度は、関西を中心に風しんが流行しています
水ぼうそう(水痘)
免疫のない女性が妊娠中に初感染すると、まれに赤ちゃんに目の異常や皮膚の委縮が生じることがあります。
予防
- 水ぼうそうワクチン接種歴のない方は、妊婦にうつさないよう予防接種をうけましょう
- 妊娠予定のある方は、予防接種をうけましょう
パルポB19ウイルス
幼児に多いりんご病(伝染性紅班)の原因となるウイルスです。妊娠中に初感染・発症すると、約30%が胎盤を通して、赤ちゃんに感染すると言われています。流産や胎児水腫などを起こす場合もあります。
性器ヘルペス
性感染症の一つで、単純ヘルペスウイルスが原因です。外陰部に水泡やかぶれがおこります。一度感染すると体内の神経節に潜伏し、妊娠時に症状が出てくる事もあります。
サイトメガロウイルス
ヘルペスウイルス科の細菌で体内に潜伏する性質があります。妊娠初期に感染した場合に胎児に影響が出る場合があります。
性器クラジミア感染症
クラミジア・トラコマチスによる感染症で、若年層の女性に多い性感染症です。自覚症状がないのが特徴です。抗禁薬を使い、お産までに完治をめざします。
B群溶血性連鎖球菌
B群溶血性連鎖球菌とは、女性の膣内や肛門付近に比較的よく見られる細菌です。産道感染すると、赤ちゃんの髄膜炎や敗血症などを起こす心配があります。陣痛時や破水時に抗菌薬を投与し、産道感染を防ぎます。
具体的な対策としては・・・
- 清潔を心掛がけ、外出後は手洗い、うがいを欠かさないようにしましょう
- 感染症が疑われる人は、妊婦にうつさないように配慮しましょう
- 予防接種で防げるものは予防接種をしましょう