龍ケ崎市では、平成29年度事業として国指定文化財「絹本著色十六羅漢像」のレプリカ作製に着手しました。
絹本著色十六羅漢像(けんぽんちゃくしょくじゅうろくらかんぞう)は、若柴町の金龍寺の寺宝で、曹洞宗の開祖道元が宗から持ち帰ったものと伝えられている羅漢図の掛軸16幅です。
龍ケ崎市内で指定されている国指定重要文化財としては、来迎院多宝塔(らいごういんたほうとう)と並ぶ貴重な文化財です。
現在は、茨城県立歴史館に寄託され、収蔵庫に大切に保管されています。
金龍寺住職のお話によると、以前は年に1回程度、金龍寺本堂において公開したことがあるそうですが、現在は空調が行き届いた茨城県立歴史館に預けられていることから、龍ケ崎市民のほとんどは見たことがないものと思われます。2年前に茨城県立歴史館の展示室で公開されましたが、保存上、長い期間展示することができないため、なおさら見る機会は少ない状況です。
龍ケ崎市では、今年度、金龍寺の同意をいただき、16幅のうちの4幅について、複製品を作ることになりました。
11月15日(水曜日)、さっそく実物の撮影を行うことになり、当市担当者、業者等が水戸市にある茨城県立歴史館に集まりました。県立歴史館学芸員の方の立ち合いのもと、高性能の非接触型スキャナーを組み立て、撮影を行いました。広げられた掛軸の上を平行にスキャナーが動いて撮影するもので、パソコンに入力した指示に従って種々の調整が行われ、さながら病院のCTスキャナーのようでした。解像度が高いので、掛軸表面のホコリも写し出してしまうほどの精度だそうです。
撮影現場には、スキャナーを操作する技術者、補色作業を行う技術者、表具職人等々10人前後が集まり、掛軸の状態や表装の柄、採寸等を行うなど、一大プロジェクトとなる様相でした。
今後、表装の文様などは、スキャナーで撮影されたデータをもとに、機屋(はたや)さんに再現して織ってもらうことになり、さまざまな技術が結集されたうえでレプリカが完成することになります。
公開は来春以降の予定ですが、生涯学習課ではレプリカの作製過程を順次ホームページで紹介していきたいと思います。
非接触型スキャナーの設置
パソコンによる制御
掛軸のスキャン